2010年5月23日日曜日

殺戮ゲームの館<上><下>/土橋真二郎

殺戮ゲームの館〈上〉 (メディアワークス文庫)殺戮ゲームの館〈上〉 (メディアワークス文庫)

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最初は興味本位だった――。
集団自殺に使われた廃墟の噂を聞いた11名が、密室に閉じ込められ!?
 ──誰かが言った。この二つには共通点があるのではないか。
 一つは時折マスメディアをにぎわす集団自殺のニュース。そしてもう一つは人間が殺し合う娯楽ビデオが存在するという都市伝説。
 出会いや遊びが目的のオカルトサークルに所属する福永祐樹は、ネットで偶然見つけた自殺サイトに興味を持ち、 集団自殺の現場となったというある廃墟にたどり着く。 だが祐樹が目覚めた時、彼を含むサークルメンバー11名は密室に閉じ込められていた……。
 戦慄の密室サスペンス、上巻。
メディアワークス文庫オフィシャルページより引用 

殺戮ゲームの館〈下〉 (メディアワークス文庫)殺戮ゲームの館〈下〉 (メディアワークス文庫)

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一人、また一人と殺されていく悪夢のような現実。
これは仕組まれた《ゲーム》なのか――?
 密室に閉じ込められた福永祐樹含むオカルトサークルメンバー11名の前に待ち受けていたのは、 一方的に提示される不可解な《ルール》と、夜を迎える度に一人、また一人と殺されていく悪夢のような現実だった――。
 やがて祐樹たちの前に“警告者”が現れ、密室の中で行われる死を賭けたゲームの存在と、どこかに“殺人犯”がいることを告げるが……!?
 疑心渦巻く密室サスペンス、下巻!
メディアワークス文庫オフィシャルページより引用 

 電撃文庫で書いてきたような、誰かが仕掛けた悪趣味なゲームに巻き込まれる、一般人の図。
主人公に特別何かがあるわけではないし、ラプンツェルの翼より扉の外とかに近い印象。
 モチーフに人狼というゲームがあるのは知っているけど、やったことはない。 興味はあるけど機会がないんだよね。
 今までの作品は登場人物が中高生だったけど、レーベルカラーを意識してか、今作は大学生。いままでの作品で感じていた違和感、「主人公の頭のキレが良すぎる」ということを感じることがなかったという点では、1番読みやすかったなんではないかと思う。
 上下巻ではあるけど、1ページ38×16なのであまり気にせず、さくっと読めた、。上下巻にしたのは、演出だといわれた方が納得出来そうな感じ。

土橋さんらしさ全開な悪趣味なゲームではあっただけに、最後の締めがイマイチな感じを受けた。
実は土橋さんはロマンチストなのです、ってのはわかったけど、GMとプレイヤー間はフェアであっても藍だけが、フェアな立ち位置にいない。気づいただけでルールには反してないんだけど、やっぱり納得いかない部分はある。配役を途中で変えるのはやっぱりルール違反のような・・・

 気になった点はそこぐらいで、それ以外では疑い疑われるのいう展開はいつものことながら、とてもゾクゾクできる素晴らしいものだった。下巻の、もしかして寝ている間に自分が……、と自分にさえ疑いを向けるという思考にまで追い詰める展開は土橋さんにしか書けないものだと思う。
 理性で魔物を予想する村人たちと、単純に自分とって大切な人を殺したくないという、感情だけで選んでいた魔物。このすれ違いが、1番土橋作品は素晴らしいと確認できたところだった。 
自分は最後まで亜実が魔物だと予想していた。いくつか怪しい行動もあったし、なによりヒスりすぎだというのが余計に怪しかった。単にヒステリックになっていただけだし、怪しい行動も、作者のしかけたブラフだったわけだけど。

個人的にはこういう話は最後まで絶望に突き落としてくれる位でもいいと思っているのだけれど、読み終わった後に悪い感触が残らないというのもいいものなんだなあ。 
なにか半端に残ったものもなく、内容にとは違い、綺麗に終わった気持ちの良い作品だった。 
  

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