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GOSICKの桜庭一樹、新境地――青春暗黒ミステリー
全ては忘れていくことかもしれない。今感じているこの切なさも、そして大人に対する憤りも、そしてどこかに行きたいと願う焦燥も。そんな十代の思いを桜庭一樹が鋭く切り取った暗黒ミステリーが本作。鳥取の片田舎に生きる女子中学生・山田なぎさ。父は他界し、母のパート代でなんとか暮らしている。どこにでもいる少し不幸な少女と、自分を「人魚」だと語る、謎多き転校生との奇妙な友情が、進む未来の先に見える光景とは?富士見ミステリー文庫オフィシャルページより引用
twitterで夏っぽいラノベTLに影響されて再読。個人的には桜庭作品で1番夏っぽいのは『少女に向かない職業』だと思うけどさ。
GOSICKから桜庭作品を読んできた身としては、改めて、分岐点の作品なんだなと実感。この方向性自体は推定少女の時点であったんだけど、あれはどっちかというと、宇宙人がなんのかに目がいってしまって、少女の内面の描写がいまいち入ってこなかった感じを受けたので、この作品があってこその一般文芸への転向だったと思う。
本文もそうだなんだけど、あとがきを読んで更に桜庭一樹とその周り(編集者)の方たちのすごさに驚く 。この作品を思いついて一瞬に書き上げる作者もそうだし、この内容であるにも関わらず、原稿をもらった次の日は出版を決める出版社も。