2010年4月4日日曜日

幕末魔法士―Mage Revolution/田名部 宗司

幕末魔法士―Mage Revolution (電撃文庫)幕末魔法士―Mage Revolution (電撃文庫)
椋本 夏夜

アスキーメディアワークス 2010-02-10
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一冊の魔導書が秘めた無窮の闇。
激動の時代を舞台に繰り広げる幕末ファンタジー!

 時は幕末。攘夷派と開明派が相克する激動の時代。
 大坂適塾に学ぶ若き蘭学者にして魔法士の久世伊織は、塾長・緒方洪庵の命で、一冊の難解な魔導書を翻訳するため出雲国松江藩に赴いた。
 一刻も早く翻訳を済ませ大坂に帰りたい伊織だったが、招かれた屋敷で手渡されたのは、亡き父失脚の原因ともなった、古の“大崩壊”によって失われた技術・魔法金属ミスリル銀の錬成炉が記された書物だった……。
 翻訳を開始した伊織の周囲の村で起こる神隠し、突然襲いかかる攘夷志士の凶刃、魔法士・金森鳶巣の暗殺。謎を追う伊織と赤眼の志士・冬馬の前に、やがてミスリル銀錬成に隠された無窮の闇が広がっていく!
魔導の旋律が奏でる幕末ファンタジー!
 電撃文庫オフィシャルページより引用


第16回電撃小説大賞、<大賞>受賞作。 

魔法と幕末という一見相容れもののように思えるが見事に融合させている。
魔法と時代劇を組みわせようとした時に、問題というか違和感のひとつに呪文の詠唱があるとおもう。
江戸時代なのに、みんなが魔法を元の言語で唱えられたらそりゃ違和感あるからね
それを、もとの言語と魔法士の母国語で唱えた時の差をつけたのは、設定が良く煮詰められてるなと思った。
魔法が元々、外国のものであるわけだから、魔法を排除しようという考えと、
攘夷の考え方と結びつくのは必然だね 
世界観や設定はよく練られていて、違和感なくとても楽しく読めた。
時代劇物でありながらもライトノベルらしい読みやすい文章で、スラスラと読めたことも気持ちよかった。 


伊織と冬馬の関係性が非常に、微笑ましい。
互いにい忌嫌う態度をとりながらも、ここぞという時の協力とかニヤニヤが止まらない
伊織は世間的には男性でありながらも、女性的な羞恥心は持ち合わせており
そういう面を見てきた、冬馬は後から思い出して悶々したりしたのだろうか。
男女カップルでありながら背中を預けられる、戦友的な関係という二重でおいしい関係なのもいい
続刊が出るとして、互いが男女であるということを認識しているので、ラブ寄せにならないかちょっと不安ではある  
別にそれが悪いことであるというのではないが、自分の感じた作品の色とはちょっあわないかなって思う。
それ以外のキャラクター達もくどくならない程度に色付され、キャラクターの言動と名前は一致させやすかった
弥平かっこいいです 

つづきがでるので続きが出るのであれば、修験者の呪法についても触れて欲しいな
ちょこっと触れただけで放置するには、おいしすぎる要素だと思うんだ 

総じて、非常に読みやすく、丁寧に練りこまれた作品ではあるのだが、
「このこの場面の、この台詞が好き!!」と言える部分が思い当たらないので大好きな作品にはなれない
誰しもに薦めることが無難な作品ではあるのだが、イマイチインパクトに欠ける  
ある意味で、十文青作品とかの真逆にいる作品 
地力がある作者さんなので、たとえばMW文庫とかで出すようなちょっと上の年代に向けた作品を書いたときに
とてもいいい作品を生み出してくれるような気がする。 

帯の時雨沢先生の推薦文のセンスが非常に好きです。

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