2010年4月6日火曜日

探偵・花咲太郎は覆さない/入間人間

探偵・花咲太郎は覆さない (メディアワークス文庫)探偵・花咲太郎は覆さない (メディアワークス文庫)

アスキーメディアワークス 2010-02-25
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これは、推理はショートカットが信条のぼくこと花咲太郎とトウキの探偵物語だ。

「あの人が犯人よ」「どうして言い切れる? まさか、犯行現場を見たとか?」「何となくよ。だから頑張って、この事件を解決してみなさいよ」「それは無理」「どうして」「今日も迷える子犬を捜さないといけないからだ」
 ぼくの名前は花咲太郎。探偵兼ロリコンだ(いや逆か?)。犬猫探しが専門で、今日もその捜索に明け暮れている。……はずなのだが最近、殺人事件ホイホイの美少女・トウキのおかげで、望まない大事件がぼくに向かって顔見せ中。ヤメテー。『閃かない探偵』のぼくにできることなんて、たかがしれてるんだけどなぁ。
メディアワークス文庫オフィシャルページより引用


ロリコンで動物探し専門の〈閃かない探偵〉花咲太郎と、事件を引き寄せ〈勘〉で犯人の分かる少女トウキのお話2巻目。
トウキと出会ったり、水族館デートに行って事件に巻き込まれたり、あの木曽川から依頼がきたりするけど、花咲太郎はいつものように動物探し専門の閃かない探偵だから何もしない。



殺し屋・木曽川からの依頼で始まる、『エニグマ作戦』。
殺しの証拠を盗まれたから取り返して欲しいという依頼。
なんとうか、この二人の相性の良さが溢れかえったお話。友達じゃないといいながら、掛け合いを楽しんでる太郎。その太郎をいじるのが楽しくて仕方ない木曽川。
本当に何も起こってない話なだけに、二人の掛け合いの面白さが余計に引き立つ。
ところで本当に、木曽川何をしたかったんだろうか?ヒマだったから太郎を呼び出した、だったらそれこそまさに友達じゃないか。

老婆・折口カヤからの依頼で始まる『双子ペット事件』。
いなくなったネコの死体を探して欲しいという不可解な依頼。
人間怖い。気が狂れた演技をしているのか、本当に気が狂れているのか。ハムレットだっけ?こんな感じの話だったような?
ここでも何も起こってないの探偵をさせられる太郎。これも運命なのかね

トウキとの出会いを語る『花咲太郎は覆さない』。
ずっと自分を覆すこと無く生きてきた太郎の人生を、唯一覆すきっかけとなったのがトウキこと桃子との出会い。 太郎としては、今までの自分と同じように、少女に求愛しただけなのにね。
  トウキの勘を聞いてからの、山口さん会話するときの太郎の怯えっぷりが、いかにこれまで普通に動物探し専門の探偵をしてきたかがよく分かる。いまの太郎なら飄々とショートカットしてすぐに行動していただろうね。トウキの近くに殺人犯がいるなんて気が気でないだろうから。
ラストシーンの2行だけのメールが素晴らしいすぎる。トウキかわいいよトウキ。

トウキとの水族館デートにいったら、水族館ジャックに遭い、太郎が人質になる『水槽の向こう側』。
ここでもまた太郎と木曽川の楽しい掛け合いが見れる。あとシ○・シェ○ード的なイルカ戦士も。
木曽川のいつもはああいうふうにふざけていたりするけど、彼もなにか自分の仕事に思うことがあるのかね。クラゲを見に来たり、涙流したり。探偵への期待も同じような理由があってなのかな。

前巻と比べると、読んだ後に残ったものをあったし、この作品としての方向性が定まったってことなのかな。ちょこっとのミステリ要素と、お約束をことどとくぶち破りショートカットをし、それゆえに漂う深夜ドラマ臭を楽しむ作品。
ちゃんとミステリできるってことは、太郎には探偵の才能があるって事だと思うんだ。太郎は血生臭い名探偵は望まないだろうけど。「閃けない探偵」ではなく、「閃かない探偵」なんだね

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