2010年4月10日土曜日

羽月莉音の帝国/至道流星

羽月莉音の帝国 (ガガガ文庫)羽月莉音の帝国 (ガガガ文庫)
二ノ膳

小学館 2010-02-18
売り上げランキング : 11297

Amazonで詳しく見る by G-Tools


羽月莉音、革命部はじめまーす!

来たれ、革命部へ! クーデターを敢行しちゃう部です! 最終目標は建国! 私たちの国を作って、部長莉音が女王様として君臨します! これであなたも大臣だ! ……俺はそんな詐欺的な部に強制加入させられた。従姉の莉音に。ただの部活ではない。莉音が部を法人化──会社にしたからだ。俺たち部員は「創業に伴う初期投資」だかで借金300万円を背負わされ、返済のためにゴミ漁りからコスプレ写真集づくりまでを休みなく手伝わされる毎日! 株式会社革命部とかいうブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界! どうしてこうなった。
 ガガガ文庫オフィシャルページより引用 

  萌ラノベの皮を被った、創業入門書。幼馴染に流されるままに「革命部」なる怪しい部活に引きずり込まれた主人公・羽月巳継。国家を立ち上げると言って、先立つものは金と会社を設立して・・・。 
キャラクターはテンプレ通りながら、ほとんどのキャラが平均以上の技能持ち。キャラクターも含めて殆どの要素を物語を描く上での舞台装置と割りきって書いてる感じがある。まぁそうでもしないと、話が進まないよね。
ラノベで経済ネタってのはあまりないけど、ニッチながらもうまいこと合わせたんではないかなと思う。




一応、大学で経済を学んだ程度の知識を持ってから読んだから、難しいという感想は全く抱かなかった。 とはいっても、苦手な人は苦手だろうし、そもそもラノベにそういうのを求めてねぇよ!って人もいるのかな。解説も丁寧だし、なにより、事業が爽快に進むので失敗したら・・・という暗い考え方を抱かせない書き方が難しいという考えをなくさせている

キャラクター造形に関してはちょっと微妙といわざるを得ない。 表紙とかイラストとかから感じる、萌テイストが物語の流れから浮いてる感じがする。ラブコメ要素のうち殆どが、会社経営に関わってこないし、唯一関わってる感じがするのが、稼ぎ頭である沙織が革命部に残る理由だけってね。個人的にはラブコメ要素抜きで、こういう話を読みたかったなというのが本音。恒太が完全に空気化しているのも残念な感じがする。成績優秀というのが伏線であることを祈るのみ。

会社を軌道に乗せるまでの流れはちょっと強引なものがある気はするけど、数打ち作戦で事業を模索して、効率化していくという過程自体にはそれほど違和感はない。実際のベンチャーだってそういうところは多いだろうしね。強いていうなら、種金の確保の手段は、柚がプログラムを4~5本買いて、売るのが良かったんじゃないかな。巳継の父親というコネはあるわけだし。そうすると、柚の正体明かしが盛り下がる気はするけど。世界中を飛び回っていろんな物事を凌いできた莉音だからこその、説得力のというのも良かった。世界で何が足りてないのか、そういうのを踏まえた上での方向性決定というのを感じた。

新しいことに次々と挑戦するという点においては、スポーツ系青春小説に近いものなのかな。主人公は物語のなかで成長してるし、何かを成し遂げるために団結するという気持ちよさもある。自ら進んで勉強してる辺りに、ラノベにありがちな、流されすぎてなんだかよく分からない、という感想を持つ主人公とはちょっと違う印象を持った。続きはすぐに出るみたいだし、これからどうやって2000倍以上に部費を増やしていくのかが楽しみ。

0 件のコメント:

コメントを投稿