2010年4月14日水曜日

迷宮街クロニクル4 青空のもと 道は別れ/林亮介

迷宮街クロニクル4 青空のもと 道は別れ (GA文庫)迷宮街クロニクル4 青空のもと 道は別れ (GA文庫)
津雪

ソフトバンククリエイティブ 2010-03-16
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生き残るか、灰になるか。
その先には、等しく青い空。
第一層と第四層を結ぶゴンドラの設置。それにより探索者の利便性は格段に上がる「はず」だった。

だが、設置工事は困難を極める。
頼れる仲間に背を預け、その場を切り抜ければ明日がある探索と異なり、工事では一般人の施工者と現場を長期間護り続けなければならない。一方、迷宮に潜む生物たちも、侵略者の行動を見過ごすことはなかった。
手を携え、総力を挙げて探索者に牙を剥く怪物たち。迎え撃ち、その命を絶つ探索者も、ひとり、またひとりと怪物と同じ運命を辿ってゆく。

別れ。その二文字を直視しながら、探索者は進み続ける。先にあるのは安らかな眠りか、それとも……。
迷宮街が舞台の群像劇、堂々完結。
GA文庫オフィシャルページより引用 

 常に死ぬ可能性を抱き続けさせる、この作品。読む度に楽しい場面のあとに、そういうシーンを持ってくるというのが非常ににくい。迷宮街では「絶対に大丈夫」はありえない、このことを毎回確認させられる。
 ライトノベルの登場人物としては、皆、年齢層が高く、考え方の部分での青臭さは少ないんだけど、割り切れない感情というか、人間臭さみたいなものは非常に溢れてる。
 恋愛模様での進展もあったけど、ラブ寄せラノベのような、告白があったでもなく、運命的な出来事があったでも無く、ただ淡々とこうなるべくしてなった、とういう感じを受けた。
 いくつかきに気になる点を残したままでの、完結だけど、とても清々しく、きれいにまとめた傑作。

死んだ人が1番多いんじゃないかな。それだけ、怪物側も必至だったんだよね。いままでコミュニティを超えて徒党を組むことが無かったのに、それをしてきたわけだし。

 しかし、言葉が通じないからと互いを化け物だと思ってる、ってなんだか悲しいような、虚しいような。この辺のコミュニケーションをエーテルを媒介になんとかできないかなぁ・・・とか思った。


 恋愛模様では話の最初からクライマックススタートだったので、いろいろとモヤモヤできた。ラノベの主人公としては年がいってる方だけど、まだ二十歳そこそこなんだよなぁ、ってのを再確認。
 確かに、真壁の決断の速さは、由加里と相性悪いね。ただ、決断が早いといういうよりは、ちょっと考えが浅い部分もあったんじゃないかな。今回のことはあとで気づいたワケだし。なんというか真壁らしくない感じもした。


 青柳さんがやられたところでの、真壁が1番らしくもあり、らしくなさも両方でてる感じがした。説得されて気づけば、冷静になれる、という特性とでもいうのかな。たぶん、それまで街を離れる決断ができてなかったとしたら、このことについて、英雄視させるのに耐えられず、街を離れたんじゃないかな。


ちょっと気になるのが、地下迷宮の化け物のルーツかな。3巻でなにやら匂わせておきながら、知性を持ち、互いにコミュニティを築き、必要とあれば コミュニティを超え協力する、ってだけしか分からないんじゃちょっと消化不良。
 もしかして、ウィザードリィをやったことがあれば分かるネタだったりするの・・・?


綺麗にまとまった終わり方だった。このシリーズだと、とんでもなく後味の悪い終わらせ方も考えたけど、そういう方向に転ばなくて本当に良かった。嫌いなキャラクターがいないから、すべてに人に死んで欲しくないと思って読んでいける、ってこのシリーズを読む上で楽しめた理由かな。決断で始まり決断で終わる物語でした。
 チャンバラ大会とか外伝とか出てくれないかなぁ・・・ 。後藤さんの話とかもうこのシリーズである必要感じないけど、読みたい。

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