2010年7月31日土曜日

ともだち同盟/森田季節

ともだち同盟ともだち同盟
森田 季節

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-06-26
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この作家、クセになる!初夏の神戸でおきる不思議でビターな青春ストーリー
千里、朝日、弥刀。二人の女子と一人の男子。三人の高校生はある誓いを交わし"ともだち"になった。しかし、その「世界」は朝日が弥刀に告白したことで揺らいでいき、ある日……。新世代青春小説の旗手、誕生!!

 女二人男一人という、変わった三人組の『ともだち同盟』。「魔女」千里と、千里から逃れられない二人の織り成す物語。
 物語が動くきっかけは、朝日が弥刀に告白したことから。「同盟」の中での恋愛は禁じられていない。だけど、歪みは生まれ、千里は・・・

 デビュー作を彷彿させるような、若い世代の心の繋がりを描いた傑作。
 現実とは紙一重で異なる世界のような、そんな世界で描かれる、苦味のある、それでいてその時代を通り過ぎたものには心地良さを与える、まさに森田季節作品らしさの溢れる1冊。
 
 
 共感できたか?と言われると素直にイエスとはいえないけど、だたとても好き。朝日の普通っぽさも、千里のミステリアスな雰囲気も、弥刀のだした答えも。自分の中で割りきっている感じがとても魅力的だった。

 好みの分かれそうな作品だな、というのがまずはじめに浮かんだ感想。ラストは一見、千里が朝日からすべてを奪って勝ち逃げしたようにも見えるけど、実際は朝日が「魔女」の呪いを弥刀に押し付け逃げ切ったとも見れる。そういう見方をすれば三人の関係はWIN-WINの関係で結末を迎えることができており、とても良いハッピーエンドだったと言える。
千里の性格が好きになれない人は、読んでいてとても苦痛だったと思う。最終的には全て千里の思うとおりに進んでしまっているし。朝日の言葉が負け惜しみに聞こえる人も同じかな。

 自分が考える青春って、物事をはっきりと割り切り前に進むことだと思う。この物語にはそれが描かれてるし、自分の好きな青春ってそういう要素が強く出てる。「文学少女」シリーズの琴吹さんとかね。青春=強くなるための通過儀礼。だから苦い。そいいう見方をはちょっと歪んでるのだろうか。

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